top of page
背景と趣旨

J-Beauty産業については、〈規制〉関連は厚生労働省、〈振興〉関連では経済産業省商務・サービスGpにおいて化粧品分野: 生物化学産業課、ネイル分野: サービス政策課、エステ分野: ヘルスケア産業課管掌。

農水産物・食品などのハード/ものづくりから外食・中食などサービス/人材まで大きな括りとする日本の「食」の海外輸出、あるいは、マンガ・アニメ・映画・ゲームなど「コンテンツ」分野を横断する民間企業・人材の海外展開と同様、J-Beauty産業全体を俯瞰し、包括的に「日本の強み」を打ち出す体制基盤が求められています。

翻って韓国においては、化粧品・美容器具・エステ・美容整形など分野を横断して「K-Beauty」を国の新たな輸出主力産業として成長支援し、2019年「(K‐Beauty)未来化粧品産業育成方案」、2021年に同政策を補完した「K‐ビューティー革新総合戦略」を発表、(日本の旧厚生省に相当する)保健福祉部傘下の政府系機関 韓国保健産業振興院(KHIDI)が〈振興〉型施策の実現・予算化を担っているとされています。

日本の民間分野においても、これまで化粧品・ホームヘルス/美容家電・美容師・ネイル・エステなど各分野の業界団体が縦割りで存在していた中、J-Beauty業界を横断して民間企業が一丸となって日本の強みを世界にアピールする初の団体として各業界のトップリーダーが結集して当協会を設立した背景があります。

近年は外国人材を育成する「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業」のように内閣府・法務省・厚生労働省、あるいはインバウンド・美容ツーリズム関連における国土交通省との連携も、今後のJ-Beautyの海外経済効果を実現する上で必須と考えます。

J-Beauty産業研究会設立・開催を契機に、国の施策として、ハード/ものづくり技術からソフト/技能人材育成まで幅広い分野にわたりつつも一貫した日本の強みを有する「J-Beauty」を一体として世界に向けて打ち出し、日本の経済成長、女性をはじめとする人材活躍推進に実効性のある政策提言を議論できれば幸いです。

2026年05月15日提言全文

 

J-Beauty産業の成長戦略に関する提言

2026年4月20日J-Beauty産業研究会 

 

 

 

1. はじめに 我が国のJ-Beauty産業は、化粧品、美容家電、美容機器、美容商材、ヘア、ネイル、エステなどを包含し、日本ならではの美の文化・価値観を具現化する産業である。その市場規模は約10兆円、雇用者数は約1,000万人(2024年)に達し、コンテンツ産業と並ぶ我が国の基幹産業であると同時に、女性活躍を力強く牽引する重要な産業でもある。 また、輸出額は約1.5兆円にのぼり、食の輸出と並ぶ「外貨を稼ぐ産業」として、人口減少時代における成長の柱として極めて大きな役割を担っている。 一方で、韓国や中国をはじめとする諸外国が、Beauty産業を国家戦略として位置づけ、海外展開を加速させる中、我が国の国際競争力は相対的に低下しつつある。特に韓国は、Beauty分野における研究開発やOEM分野でも世界各地に拠点を展開し、圧倒的な存在感を示している。このままでは、世界から高く評価されてきた我が国の優れた技術者・研究者が、海外へ流出していくことも強く懸念される。 これまで民間の自助努力に大きく依存してきたJ-Beauty産業を、今こそ国家戦略産業として再定義し、官民が一体となった成長戦略を構築していくことが急務である。 こうした問題意識のもと、J-Beauty産業研究会を立ち上げ、これまで7回にわたり業界関係者へのヒアリングや議論を重ね、現場の課題と今後講ずべき施策について協議を行ってきた。 以下、その内容を踏まえ、提言を取りまとめる。 

 

 

II. 現状と課題

 

1,国際競争の激化 

●2010年代以降、韓国や中国は、自国のBeauty産業が民間主導で自律的な成長軌道に乗ったことを踏まえ、これを国家戦略産業として明確に位置づけ、大規模な支援策を講じてきた。補助金の配分を含む積極的な政策支援により、化粧品メーカー、販売事業者、美容サロンなどの中堅企業・ベンチャーによる海外展開を加速させ、韓国は化粧品輸出額約1.8兆円を誇る世界第3位の輸出大国へと成長した。

● 韓国におけるK-Beauty産業は、民間を中心とした産業エコシステムが独自に発展してきたことが大きな成長要因である。2012年の化粧品法改正を契機に、高い生産能力を有するOEM・ODM企業や、多様なデザイン力・企画力を持つ中小企業が産業の中核を担う構造が形成された。さらに、韓流ドラマやK-POPといった文化コンテンツの世界的浸透に加え、SNSやECを活用したデジタルマーケティングを巧みに展開する販売事業者の存在が、国際競争力を大きく押し上げている

。● 韓国政府では、中小ベンチャー企業部と保健福祉部が2025年11月に「K-Beauty輸出成果拡大策」を発表し、K-Beauty産業を国際競争力世界第2位へと引き上げることを目標に掲げた。これに基づき、グローバル市場への進出支援や研究開発・技術革新の促進に向けた施策の方向性を示している。具体的には、国内におけるK-Beauty産業クラスターの形成、海外現地進出を支援する拠点整備、技術開発センターの設置など、多層的かつ戦略的な支援体制の構築を進めている。 

 

2,世界最高水準の技術力の活用不足

日本における化粧品分野の研究開発力・技術力は、世界トップレベルを誇る。とりわけ、IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)においては、1970年以降、半世紀以上にわたり受賞数世界第1位という圧倒的な実績を維持しており、我が国が世界最高水準の技術力と研究開発力を有していることを示している。

● また、ネイル(「ネイリスト」は我が国が生み出した職業資格)やエステをはじめ、民間が独自に築き上げてきた技能認定資格制度も、日本ならではの強みである。こうした制度は、高度で繊細な技術力を裏付けるものとして海外からの評価も高く、日本で学び資格取得を目指す海外の受講者も年々増加している。

● 一方で、こうした優れた技術力や独自の制度を有しながらも、ブランド発信力や市場戦略の面では、その優位性を十分に活かしきれていない。結果として、世界のBeauty産業市場においては、韓国や中国をはじめとする諸外国に後れを取り、国際競争力の面で相対的な地位低下が懸念される状況となっている。

3,海外展開における戦略的体制・機能の不足

● これまで、我が国のBeauty産業における業界団体は、民間企業が業種ごとに設立・運営してきた経緯があり、その多くは規制対応を中心とした運営思想や組織体制を有している。一方で、海外の民間業界団体は、コンサルティング機能や実務遂行能力を備えた専門人材を多数事務局に抱え、データの収集・分析機能を高度に整備している。こうした違いが、戦略立案力や国際展開力の差として表れている。

● また、これまで民間企業各社の自助努力のみに依存してきた結果、グローバル市場全体の動向を俯瞰的に把握し、業界横断で有効な打ち手を講じる体制が十分に整ってこなかった。各社が個別に一定の成果を上げてきた一方で、世界市場で大きなブレイクスルーを生み出すためには多額の投資と戦略的連携が不可欠であり、その点で後手に回ってきた側面は否めない。

● さらに、経済産業省においても、化粧品、ネイル、エステなどJ-Beautyに関連する業界がそれぞれ別の部署で所管されており、美容家電や理美容師分野など、十分な担当部署が明確でない領域も存在する。その結果、J-Beauty産業全体を一つの成長産業として捉え、横断的かつ一体的に支援する体制が構築されておらず、政策の司令塔機能が不十分な状況にある。 

 

 

4,規制・制度上の課題

● 化粧品の販売においては、数値データを用いた広告や体験談を活用した広告が原則として禁止されており、効能表現も56項目に限定されている。このため、商品の機能性や優位性を十分に訴求することが難しく、諸外国の商品と比較して、消費者に対する訴求力が弱くなっている。グローバル市場における競争力を高める観点からも、科学的根拠に基づく適切な情報発信のあり方について見直しが求められる。

● 「新有効成分」などを含有する薬用化粧品(医薬部外品)の申請においては、日本では、安全性の観点から毒性データの提出が義務付けられており、その取得のために動物実験を実施した場合、当該製品は、動物実験を原則禁止しているEU市場への輸出が困難となる。このことは、国際展開を目指す企業にとって大きな障壁となっており、動物実験代替法の更なる推進や国際基準との整合性を踏まえた制度の見直しが必要である。

また、既承認品目と有効成分が同一である場合においても審査期間が長期化することや、医薬部外品原料規格の変更に係る手続きが柔軟でないことなど、制度運用上の課題も大きい。審査期間の短縮、規格変更手続きの簡素化・迅速化を進めることは、スピード感を持った商品供給を実現し、国際競争力を維持・強化する上で不可欠である。

● さらに、海外製化粧品について、本来は薬機法に基づき広告監視を行うべきであるが、その取り締まりは十分とは言えない。制度の厳格な運用と適正な市場監視を徹底し、安全性と公正な競争環境を確保する必要がある。

美容機器と医療機器の境界が曖昧であることに加え、海外から輸入される機器に対する規制も十分ではない。その結果、安全性が担保されていない粗悪な機器が市場に流入し、消費者被害や業界全体の信頼低下を招く懸念がある。明確な基準整備と輸入段階での適切な規制強化が求められる。

● 民放連の放送基準における広告放送の規定により、広告であることを明示しなければ特定の商品を番組内で訴求することが難しい。このため、ドラマや映像コンテンツを通じた自然な商品訴求やブランド浸透が限定され、J-Beautyの魅力を文化と一体で世界に発信する上で制約となっている。今後は、適切なルール整備のもとで、コンテンツ産業とBeauty産業の連携を強化し、国際的なブランド発信力を高めていく視点が重要である。

● また、国家資格制度についても柔軟性の不足が課題である。例えば、理美容師資格の取得には日本では通常2年を要する一方、韓国では外国人でも比較的短期間で資格取得が可能な教育制度や養成機関が整備されている。国際人材の獲得競争が進む中で、制度の柔軟化や多様な人材を受け入れる仕組みづくりが急務である。  

 

 

 

III. 課題を克服しJ-Beauty産業の海外展開を加速化するための具体策(提言)

 

1,J-Beauty産業がオールジャパンで協調し、自律的に運営するコンソーシアムを早期に立ち上げること

● J-Beauty産業を構成する化粧品、美容家電、美容機器、美容商材、ヘア、エステ、ネイル等の各業界団体が、オールジャパンで連携・協調し、民間企業がこれまで培ってきた強みやノウハウを最大限に活用できる体制を早急に構築すべきである

● 輸出拡大、企業の海外展開、インバウンド需要の取り込みに向けて必要な施策を継続的かつ密接に協議・検討し、中小企業やベンチャー企業も含め、本産業に従事するあらゆる事業者が海外経済効果を創出できるよう、自律的に支援施策や投資を実行する民間主導のコンソーシアムの設立が必要である。(主な協調内容)

✓ 日本人の価値観から生まれる丁寧なものづくり、信頼性の高さ、心地よい使用感、肌本来の美しさを引き出す発想などを端的に表   現し、世界に認知されやすい「J-Beauty」のキーコンセプトを整理すること

J-Beauty産業全体としての目標数値及びその達成時期を明確化し、強力に推進すべく、複数年のロードマップを官民で作成すること✓ 化粧品に限定せず、海外で高い評価を受けている美容テック、美容機器、フェイシャルテクニック等との連携を強化し、産業全体としてのブランド価値を高めること

✓ 海外展開支援として、商流の共通化、原料成分データの共通管理基盤の整備、ODM・OEM体制の強化、先端研究開発への共同投資、諸外国における販売促進(EC含む)にかかる各種規制の調査・分析を推進すること

JETROとの協働により、海外市場の調査研究や現地プロモーションの戦略的運用を行うこと。あわせて、急成長するライブコマース市場を見据え、インフルエンサーの活用を推進すること

✓ 化粧品や美容家電等、我が国の高度な技術力の源泉である知的財産(IP)を適切に保護・活用しつつ、海外展開に特化した製品に対する認証・認定制度を整備し、J-Beautyブランドの信頼性を高めること

大学による研究開発も含めた産学官連携を一層強化し、技術革新や人材育成を推進すること

✓ 理美容師、ネイリスト、エステティシャン等、海外で活躍する人材に特化した技能認定資格や教育(留学)制度を構築し、国際的人材育成を進めること

民放連とも連携し、J-Beauty製品の魅力や価値をより効果的に発信できるよう、広告・PRに関する運用の柔軟化について協議を進めるとともに、コンテンツ産業との連携強化により、J-Beautyの海外発信力を高めること

✓ 違法な案件や不適切な流通に対して、現場の知見を活かした情報収集体制を強化し、消費者庁や厚生労働省など関係省庁へ迅速につなぐ仕組みを構築すること 

 

 

2,上記民間コンソーシアムを包括的に支援する組織を配置すること【内閣府】【経済産業省をはじめとする関係省庁】

● J-Beauty産業全体を一つの成長戦略産業として位置づけ、オールジャパンによる海外展開支援を包括的に推進するため、内閣府及び経済産業省をはじめとする関係省庁に最適な組織体制(担当チーム)を早急に構築すべきである。

● これにより、官民が連携して網羅的な調査・分析を実施し、我が国に必要な産業振興策を迅速に導き出し、関係省庁との連携を一層強化し、国家戦略として一体的に実行できる司令塔機能を確立することが重要である。

J-Beauty産業全体としての目標数値及びその達成時期を明確化し、強力に推進すべく、複数年のロードマップを官民で作成すること● 技術革新や人材育成への支援を推進するとともに、設備投資や研究開発、海外展開を後押しする金融面での支援を充実させる。あわせて、海外での見本市・展示会への出展支援や販路開拓支援を強化し、J-Beauty産業の国際競争力向上を図るとともに、各国の規制に関わる情報を精査・共有することで事業者がスムーズに海外展開できる環境を作るべきである。

● さらに、美容・健康・観光・ものづくりなど関連産業との連携を深め、地域産業クラスターの形成を促進し、J-Beautyを核とした持続的な地域経済の活性化に繋げることも重要である。

 

 

3,J-Beauty産業が世界に伍して戦える環境を整えるため、規制の見直しを早期に行うこと

● J-Beauty産業の国際競争力を高めるためには、現行制度や規制が成長の阻害要因となっている部分について、早急な見直しを進める必要がある。

● 特に、令和7年度補正予算事業「医薬部外品・化粧品国際規制調和事業」を活用し、化粧品・医薬部外品に関する海外規制の調査を進める中で、国際基準との整合性を踏まえた制度改革を推進すべきである。

【厚生労働省】

✓化粧品広告における数値表現や体験談活用のあり方の見直し

✓ 現在56項目に限定されている効能表現について、ネガティブリスト方式(或いはハイブリッド方式)等への転換

✓ 化粧品容器における法定表示事項の電子ラベル化

✓ 新有効成分等を含有する薬用化粧品申請における動物実験代替法の推進

✓ 既承認品目と有効成分が同一の場合の審査期間短縮

✓ 医薬部外品原料規格変更に係る手続きの簡素化・短期間化

✓ 輸出先国や製造者情報等に関する変更届出制度の廃止

海外から流入する違法広告については、薬機法等に基づく監視・取り締まりを一層強化するため、横断的に対応できる仕組みを構築すべきである。特に、ECサイトやSNSを通じて流通する未承認化粧品や違法な効能表示を伴う広告については、消費者の安全確保と公正な競争環境の維持の観点から、迅速かつ実効性のある監視体制を整備する必要がある。

【厚生労働省】【総務省】

● 美容機器やエステ機器等における劣悪な機器・商材の流入に対し、安全性・品質確保の観点からもルール整備を進めるべきである。あわせて、海外展開に際して各国の規制が障壁とならないよう、国際基準との整合や認証制度の整備、輸出支援策の強化など、実効性ある対応策が必要である。

【厚生労働省】【経済産業省】以上

スクリーンショット 2026-05-16 12.03_edited.jpg
スクリーンショット 2026-05-16 12.02_edited.jpg

​事業活動履歴

2017年12月以来、世界でも高い評価を得ているJ-Beautyにおける〈もの〉と〈人〉の強みを一層アピールし、コンテンツ・食に並ぶ日本の大きな産業成長と人材活躍をめざし、国と産業/民間企業をつなぐ存在になるべく志向して参りました。2025年、「J-Beauty産業研究会」発足の運びとなりました。

2017年12月    当協会設立

2018年

  • 国際美容関連シンポジウムで講演、有識者とのASEAN視察ツアー実施

  • 海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)と意見交換 

2019年

  • ASEANで日本の美容資格を学ぶ「JAPAN BEAUTY ACADEMY」構想

  • ASEANの現地財閥・教育機関運営企業と折衝(コロナ禍で中止)

2021年

  • ASEANの若者人材がオンラインで日本の美容資格を学ぶ教育・資格検定事業構想

  • ASEANの若者/現地美容店ニーズ現地調査実施

2022年

  • ASEAN若者/現地美容店ニーズを踏まえ 日本における研修・資格取得・OJTを実施する「Powering up Asian Carrer(PAC)」企画検討・策定

2023年

  • 経済産業省所管課と「PAC」およびJ-Beauty産業育成支援策について協議

  • 日本が国としてJ-Beauty産業の認識・振興策を有していないことを理解

2024年

  • 議員ロビイングに向けた当協会「J-Beauty産業に関する提言」とりまとめ

  • 協会理事および業界企業へのヒアリング、議員ネットワーキング 

2025年

  • 小林史明 衆議院議員・金子容三 衆議院議員と複数回に及ぶ議論

  • 「J-Beauty産業研究会」(会長 林芳正 衆議院議員)発足:第1回6月19日、第3回11月20日実施

2026年

  • 協会名称変更 J-Beauty海外展開推進協会に改名しました

2026年

  • 6月1日より 理事長に山田信之介氏が就任致しました

©2026一般社団法人J-Beauty海外展開推進協会 J-Beauty International Development Association

bottom of page